※ネタバレあり
無料配信サイトで公開されていたから観てみたよ
(というより万年金欠だから娯楽はタダで抑えたいのよね;)
| 監督/脚本 |
M・ナイト・シャマラン |
| 主演 |
ジェームズ・マカボイ
アニャ・テイラー=ジョイ
|
| ジャンル |
人怖系サスペンス…と思いきや |
みんな大好き、私も大好きな『シックスセンス(1999)』の監督ですね。調べた時はびっくりした。「どんでん返し」が売りのように世間的にも語られてますがこの方はちりばめた伏線を最後にきれいにまとめるのが上手い印象。さりげなく御本人も作中に役者として混ざるので私なんぞはそういうの笑ってしまうんですが、制作者の遊び心としての一芸なんですかね?
●あらすじ
ある女子学生3人が1人の男に誘拐されるが、その男はどこかおかしい。ある時は極度の潔癖症で荒れ、ある時は言葉使いも服装も女性になりきり、ある時は小学生のように幼い言動をする。メイン役の女子学生のひとりケイシーは過去に父から手解きを受けた”狩り”の経験を活かし、冷静な対処で目の前の予測不能な誘拐犯とやり取りを試みる。
誘拐事件が騒がれている外では、ニュースを見た精神科医フレッチャーが自身の担当する患者のひとりに不信感を抱いた。その男性患者が深夜に送ってくるメッセージはいつもと違っていた…
誘拐犯:ケビン役のマカボイ氏の演技がとにかくリアルで恐ろしい。普遍的な青年から成人女性、10にも満たない男の子の動きなどに瞬時に(撮影時に間があったかは測れませんが)切り替えられる演技力、そして、見たのは吹替版なので日本版声優を務めた内田夕夜氏の声もとてもイイ。両者ともいままでノーマークだったけどファンになりそうだ。
ケイシー役の人どっかで見たことあると思ったら『マッドマックス』のフュリオサか。あの映画はマドマシリーズのひとつとしては物足りなかったが、個人的には隔離して考えれば十分楽しめた。余談。
御本人の聡明な女子学生の演じ方にもしびれたが、うっかり幼少期のケイシーの子役に興奮してしまった。自分も大概ロリコンだなオッサンのこと侮蔑できん…
●2人の社会のはみ出し者
誘拐犯ケビンは解離性人格障害を持ち、内に23人も抱える精神障害者だった(実際は20余人なんて出てこないけど、もしかして続編の方で活躍する?)。彼を診ていた医師のフレッチャー先生(日本語吹替に久保田民絵さん。あ~落ち着いたイイ声でぴょんぴょんするんじゃぁ~)もまたベテランの勘で不審な動きをするケビンを追い詰め、ケイシー側にとっても大事なムーブをしてくれる。良い人は大抵死ぬんだ…終盤まで穏やかに進むから人死には出ないといいなぁと期待していたがだめだったよ…
個人的な感傷は抜きにしてもやはり、ラストの人間離れした男VS戦い方を心得ている女の子の攻防は面白い。映像中の各所で挟まれていた二人の過去も相まってより感情移入がしやすいと思う。「ビースト」に乗っ取られたケビンに反抗するケイシーもまた、病気とはみなされないまでも心に傷を負っていた。
●幼少期のトラウマ
ケビンがなぜ精神分裂するまでに至ったかの経緯は回想としてはとても短かったが、序盤~中盤までで彼の別々の人格達が語り口調に説明したため、母親との関係も大体想像はついた。一方で内側にこもり恐らく誰にも相談することのなかっただろうケイシーの過去については、回想映像でイヤというほどの生々しさで視聴者に向けて語られる。彼女もまた「大人」に搾取されてきた側の人間だった。
シックスセンスでも十分発揮されていたが監督の、人間の内側の忌避されやすい部分を容赦なく見せつけてくるその加減の無さがむしろ気持ちいい。よく動物の死骸映すの許されたな。
最後に彼女の抱えるものを察したビーストは「お前は痛みを知っている」と嬉しそうな表情で言葉を残して去っていく。
というか一貫して観たらこの女主人公ただのとばっちりじゃねーか。ひどい話だ
●ケビンのその後は続編で
エンドロールでブルースウィリスの登場と「ミスター・ガラス」の言葉を聞いてビックリしてしまった。それまですっかり忘れていたのだが、そういえば私昔に『アンブレイカブル』見てたんだった。吹替の山ちゃんと那智さん目当てで…
ここで調べてようやく3部作として公開されていたことを知る。さり気なく繋げてくるじゃない。好きだよそういうの。
ラストまで観て「どういうことだ?」と思わせて他作品まで誘導する流れ、ハリウッド映画でよくあるやつ。
●総合評価
ここまできたら『ミスター・ガラス』も見なくてはという気分になってしまった。ケイシーも出てくるらしいですし。
ただひとつ懸念が。
シャマラン監督は見た感じの個人的な評価だと「人間の根本的な感情の機微や心象」を全面的に出させてそれを軸に物語を動かすのが上手いイメージなんだけど、アメコミ系のヒーローものに路線を行かせたらイマイチな出来になるんじゃ…という心配がある。『アンブレイカブル』も他のハリウッド映画に比べれば戦闘シーンは控えめだったから良い印象を受けたし『サイン(2002)』は宇宙人を敵としたSF物でも、主人公家族に突然襲い掛かる非日常を尺のメインとしていたから楽しめたものの、ラストの宇宙人との戦闘でガクッとテンション下がってしまったもの。結末への期待値高かったばかりに…。正直に言うと、家族のひとりが病気持ちだったために命が助かったという解釈も強引な気がして白けてしまったし。
ゆえに、この監督に戦闘をやらせてしまうとせっかくの評価が下がってしまうかもと不安なので、続編も心理戦色が強いことを祈る。
日本での異能バトルものだと自分では『ストレイヤーズ・クロニクル(2015)』や『MONSTERZ(2014)』を思い出す。染谷将太氏と藤原竜也氏が好きなので。
フジタツこそ遜色なしの本物の人外なんじゃないかと思うわ…地下で肉体労働するギャンブル狂いはともかく法で裁けない人間をノートで容赦なく抹殺するサイコになったり包帯ぐるぐるになったり背中に羽生やしたり、2026現在でCM多めの仕事に切り替わってなお顔変わってない気がするんだもん…(誉めてます)
映画に比べればTVドラマなので内容はそれほど濃くはならないけど、2024年に『全領域異常解決室』もやってたな。